お前は俺を好きになる～気になる女の子～

昨日、俺の心を鷲掴みにした日本人形ちゃんが窓を開け、頬杖を付き、外を眺めていた。



雪のような白肌に、長い黒髪が風にさらわれサラサラかすめる。



「あっ」



「あっ。おはよう」



ドラマのような出逢いに、胸がトカトカしないはずはない。



全身の血液が心臓に集中してんのかってくらい心臓がバクバクいってる。



俺がどうしたらいいかわからず、目線を下に向け黙っていると



「あぁぁっ！！昨日の可愛い子！」



場の空気を読めてない留美は、日本人形ちゃんを露骨に指差し、飛び跳ねている。



マジでコイツどっかにいけって感じだ…



「お前マジうぜっ！つかうっせ！」



「きゃっ、聖ちゃんこっわっ♪」



さっき俺が言ったセリフをあきらかに真似しやがった留美。



イタズラ染みた勝ち誇った顔で、俺を下から見上げてやがる。



挑発的なこの態度。



受け止めるべきだろうか。



それとも、やっつけてしまうべきだろうか…



プルプル震える右手。



日本人形ちゃんを前に、マイナスな印象を植え付けたくなかった俺は拳をあげ、殴るか殴らないか一人葛藤と戦っていた。



「クスッ」



とても小さな愛らしい笑い声が耳に流れ込み、力のこもった俺の右手はなぜか身震いと共に力が抜けた。



声の主。



それは日本人形ちゃん…



「二人は仲がいいんだね。あたしもまざりたくなっちゃう」



笑いだしたと同時に、間髪入れず話し出した彼女の声。



その心地いいトーンについ聞き惚れてしまった自分。