理想と現実の間に



「椎野こそ!剛さんとどうなのよっ」

机に両肘をついて、照れ臭かった仕返しとでも言いたげに

唇を尖らせている。



「へっ!?私?私はなーんにも!!進展ないよ〜ん」


「ほんとにぃぃ?デートしたじゃん!!」



「‥や、なんかね…私もヤバいかも?今までにない感情があるんだよね」


「なにそれっどういう事?何事?」



「自分でもなんでか分かんないけど、初めて結婚したいって思っちゃった。恋愛とかの前に、人間として尊敬できる相手なんだよね…」




「椎野…変わったね!今までの椎野は結婚なんて絶対口にしなかったじゃん」

そっかぁ〜
と言って、微笑んでくれる里沙



今の私の正直な気持ちなんだ…


同年代の男で、剛のように仕事に一生懸命で

人生をしっかり生きている人に出会ったのは初めてで

大きな衝撃と一緒に現れた

流れ星のような人





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