理想と現実の間に




絵に見入っている私に

いつ取りに行ったのか、剛が瓶に入ったコーラをくれた。



ハッと我に返り、やっと瞬きをした

「あっありがと‥」



「その絵、俺が描いた。学生んときかな」



「うん。スゴイ!!きれい…」



「その3枚にはかなり力入れたんだ!売ってくれって言われた事も何度かあったけど、その3枚だけはなぜか売れなかった。」



「売っちゃダメだよっ!!こんなに素敵だもん。でも、欲しい気持ちすっごく分かる!」



斬新なタッチや色使いの中に繊細さを感じる剛の絵は

剛を表しているようにも思えた



誰の目をも惹きつける冷めた瞳とオーラを持ちながら

ほんとは優しくて繊細な部分を心の奥に持っている剛‥



そんな絵だと思った




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