理想と現実の間に
コツコツとヒールと木製の床のぶつかり合う音が響く
「よぉ。メリークリスマス」
カウンターの向こうに座り、パソコンから顔を覗かせるようにして剛が顔を出す。
「まだイブだけどねっ。メリークリスマス(笑)はいケーキ♪」
カウンターの上に袋を置いた
「サンキュー!やったね♪」
なんか結構嬉しそう…
よかった
普通に話せる
あーあ
やっぱりムカつくくらいカッコいい
剛はパソコンの手を止めて、裏からグラスを2つ持ってきてくれた。
そこにシャンパンを注ぐ
いい具合に落とされたライトに反射して
小さな泡が水面に登る
甘いケーキの匂いと
胸を打つREARの香り
そして剛
決して豪華なんかじゃないけど、私にとってはこれ以上ない最高のイブ…
少しだけ神様を信じてもいいかもしれない
だからクリスマスは好きだ。
「「乾杯っ!!」」