理想と現実の間に
その日は寒かったこともあってか、
剛は真っ黒のスウェットのズボンにパーカーを着ていて、
フードをかぶり、
ネックウォーマーを鼻まで覆っている状態
全体的に真っ黒で、
見えているのは異様に鋭く大きな目だけだった。
それでも綺麗な顔をしていることはすぐに分かった
剛の顔さえも彫刻の芸術のような。
室内に広がる不思議な香りと共に
剛の存在さえも不思議に感じる空間。
香りに惑わされてしまっているのか
剛の存在に惑わされてしまっているのか
きっと、隣にいる里沙も同じ事を感じているだろう雰囲気だった。