理想と現実の間に
マフラー
外に出ると、刺すような寒さが体にまとわりつく。
「充!!キー貸せ。お前少し飲んだだろ」
「あ〜い」
「ミツルって名前なんだね!あたしずっと名前呼べなくて困ってたんだよねっ」
寒いからと寄り添っていた里沙が耳元で言った。
ここきてやっと判明した名前に私達は思わず笑ってしまった。
里沙はなぜか嬉しそうで、宝物を見つけた子供のように無邪気に笑っている。
この里沙の笑顔は、気に入ったという事だろう。
私も自然と顔が綻んでいた。