理想と現実の間に



カウンターには、いかにも板前さんといった感じの清潔感漂う男の人が小鉢になにやら盛り付けをしていた。


「おう剛、久しぶりだな。いつも野郎ばっかで来るくせに今日はキレイな子連れてるなぁ」



清潔感漂うイメージが、少し壊れちゃうような顔を剛に向けて話している。


「ははっ。確かに毎回先輩か後輩とっすからね」
いつもとは違う少し緊張の入った笑顔を作りながら剛は答えていた。



店の空気に緊張していた私は、2人のやり取りに肩の力が抜けた気がした



そっかぁ…
じゃあ女を連れてきたのは、私が初めてだって思ってもいいのかな?






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