王子様は金髪ヤンキー!?〜My last lover〜
待つこと数十分。
暗闇の中から一台の単車が眩しい光とともに現れた。
「わりぃ。道に迷った」
そう言って恥ずかしそうに頭をかくのは、以前ゲームセンターの前で話しかけてきた男の子だった。
「あのさ、高梨のこと家まで送ってやって?」
「別にいいけど……大丈夫だったのか?」
男の子はあたしの姿を見るなり心配そうな表情を浮かべた。
「あぁ。とにかく高梨を頼む。あとで連絡するから」
「分かった。じゃあミホちゃん後ろ乗って?」
「うん……」
ミホがバイクにまたがった瞬間、男の子はクルリと振り返ってあたしを見た。
「隼人にしなよ?隼人なら、絶対に未来ちゃんのこと幸せにしてくれるから」
男の子はそう言うと優しく微笑んだ。
「え……?」
どうしてあたしの名前知ってるの……?
「バーカ。早く高梨のこと送ってやれって」
「はいはい。じゃあね、未来ちゃん」
「未来、また連絡するね!!」
「あ……うん」
あたしが小さく頷くと、二人を乗せた単車は暗闇の中へ消えて行った。