王子様は金髪ヤンキー!?〜My last lover〜
「……どうした?眠いか?」
「ううん。眠くないよ……」
隼人のお腹に回した腕にギュッと力を込めて、顔を背中にくっつける。
トクントクンと一定のリズムを刻む隼人の心臓の音。
その音を聞いていると、気持ちが落ち着く。
信号待ちの時、あたしは隼人に問いかけた。
「ねぇ、隼人。寒くない?」
「別に寒くない。未来、寒いのか?」
「ううん、大丈夫だよ」
「もう少しで着くから、頑張れよ」
本当は風をきって凄く寒かった。
でも、ブレザーをあたしに貸してシャツ一枚の隼人はもっと寒いだろう。
それなのに隼人はあたしを励ましてくれて。
「隼人……ありがとう」
青信号に変わりバイクが走りだす。
あたしはポツリと呟いて再び隼人の背中に頬を寄せた。