王子様は金髪ヤンキー!?〜My last lover〜
「……おい!待てよ!!」
人の間をぬうようにして走り、俺は何とか愛川未来の姿を探し出した。
そして、後ろからその細い腕をギュッと掴んだ。
「やっ!何……?!」
急に腕を掴まれたことに驚いたのか、愛川未来は目を見開きながら振り返る。
そして俺の存在に気付くと、明らかに困惑した表情を浮かべていた。
「もう暗いし家まで送ってやるよ」
「……いい。家もすぐそこだから」
あいにく断られてすぐに「はい、分かりました」と引けるほど俺は大人じゃない。
「送ってやるって、俺が言ってんだろーが」
「だから、いいって言ってるでしょ?!」
「……うるせぇな。素直に従えよ」
「……分かったよ……」
俺が睨むと、愛川未来は不服そうな表情を浮かべながらも素直に頷いた。
そして俺達は電灯の少ない道路を歩き、愛川未来の家を目指して歩き出した。