王子様は金髪ヤンキー!?〜My last lover〜
両親は俺の中学入学と同時に死んだ。
いや、殺されたと言った方が近いかもしれない。
センターラインをはみ出してきた飲酒運転の車と正面衝突して、二人ともほぼ即死だった。
それなのに、加害者はたいした怪我もなく済んだらしい。
両親を失ってから、俺の生活は一変した。
いつも母親に頼り切ってばかりだった家事を、自分でしなければいけなくなったからだ。
でも、幸いに親戚には世話好きな人が多くて。
週に一度は誰かしらがうちにやってきて、「だらしないわねぇ」と言いながらも身の回りのことを手伝ってくれる。
そのおかげで、今まで金銭面でも生活面でもほとんど苦労したことがない。
「……冷めないうちに食べようか?いただきます!」
「あぁ」
4人掛けのテーブルに座り、作りたての料理の前でパチンと手を合わせる未来。
「……苦い」
さっき未来が焦がしたスクランブルエッグを口に運んだ瞬間、俺は思わず顔を歪めた。
「……隼人、無理して食べないでもいいよ?」
心配そうに俺の顔を覗き込んだ未来に首を振って答える。
昨日の不味いココアを飲んでくれた礼だ。
「別に無理してない」
俺は山盛りのスクランブルエッグを口いっぱいに押し込み、水で流しこんだ。