王子様は金髪ヤンキー!?〜My last lover〜
22時になりバイトを終えた俺は、自分専用のロッカーから制服を取り出して着替え始めた。
「……?」
その時、ふとある違和感を感じて。
いつも制服の右ポケットに入れてあるはずの携帯が、今日に限っては左ポケットに入っている。
「まさかあいつ……」
ロッカーに鍵は取り付けられておらず、誰でも簡単に他の従業員のロッカーを開けることが出来る。
胸騒ぎを覚え、携帯をいじられた形跡がないか調べていく。
「まさかそこまでしねぇか……」
着信履歴やリダイヤル、電話帳やメール……どこを探してもこれといった変化はない。
「俺の勘違いか……」
さすがの美咲でも他人の携帯を覗き見するなんて悪趣味な真似はしないだろう。
俺はそのまま携帯を制服のポケットに押し込み、急いで事務所を後にした。