王子様は金髪ヤンキー!?〜My last lover〜
駐車場の隅に停めておいた単車に向かって歩いている途中、今最も顔を合わせたくない人物が暗闇の中から現れた。
「もう帰るの?だったらあたしのこと家まで送っていってくれない?」
「……」
二度と俺に関わるなと言ったはずなのに、美咲は馴れ馴れしく話しかけてくる。
俺は美咲の存在を完璧に無視して、単車にキーを差し込んだ。
「そんなに未来ちゃんが大事なの?」
すると美咲はパタパタと靴を鳴らして俺に近付くと、唐突にそう言い放った。
「……何で未来の名前……」
「図星だった?未来ちゃんとは同じ学校なの?」
「お前には関係ない」
未来が俺の女と知っているかのような口振り。
美咲に未来の存在を知られたくない。
こいつに未来の存在を知られたら、今以上にめんどくさいことになる。
俺はその一心で嘘をついた。