王子様は金髪ヤンキー!?〜My last lover〜
「……もしもし?」
「もしもし?あなたが未来ちゃん?」
電話口の向こうから聞こえる女の子の声。
相手はあたしの名前を知っているらしい。
「あの……誰ですか?」
そう尋ねると女の子は、
「あたし、美咲って言うの。突然ごめんね。実は隼人のことでちょっと話があってね」
のんびりとした口調でそう答えた。
“美咲”
その名前を聞いた瞬間、心臓が不快な音を立てる。
「隼人の話って……?」
「あのね、少し言いづらいんだけど隼人に付きまとうのやめてくれる?」
「……付きまとう?」
「そう。あたし隼人が好きなの。だから、お願い」
優しい口調の中に刺(とげ)のある言葉を吐く美咲ちゃんに思わず顔を歪める。