王子様は金髪ヤンキー!?〜My last lover〜
「ハァ……」
またやっちゃった。
あたしはそのシャーペンを見つめて、深い溜息を吐いた。
「これ、未来にあげるね」
大学の受験勉強の時、裕が毎日愛用していたというシャープペン。
そのシャープペンはあたしが裕から貰った大切な宝物だった。
だから裕と別れるまで、毎日このシャーペンで授業を受けていた。
でも、別れてからは一度も使っていない。
いつも意識的に違うシャープペンで授業を受けるようにしていたから。
その思い出深いシャープペンを握ると、裕への想いが再び燃え上がってしまいそうで。
だからこそ、ずっとこのシャープペンに触れないようにしていたのに。
それなのに、意識していないとあたしはこうやって裕からもらったシャープペンを自然と握りしめてしまうんだ。
「まだ……諦められてない」
未だに裕への未練を断ち切れずにいる自分が情けなくなって、あたしは唇をギュッと噛み締めた。