王子様は金髪ヤンキー!?〜My last lover〜

氷枕を用意しているお母さんの横にピッタリと張り付いて顔色を伺う。


「ねぇ、お母さん。隼人……すごい熱なの。一人じゃ家に帰れないよ」


「……そうなの。可哀想にね」


「お父さんも出張でいないよね?」


「そうね、お父さんがいないと寂しいわ」


「……今日だけ、隼人を家に泊めてもいい?」


「ダメ」


「……ケチッ!!」


あたしは思わず唇を尖らせた。



昔から心配性のお母さん。


『心配してたのよ?』が口癖で。


家に帰るのが少し遅れただけで何通もメールを送ってくる。


こんなことを聞くこと自体間違ってたんだ。

 


「……分かったよ。もういい」


苛々しながらプイッとお母さんから顔を反らした瞬間、
 

「……お父さんには内緒にしてよ?」


氷枕を用意し終えたお母さんは、それをあたしに渡しながら優しく微笑んだ。
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