華の恋
「あ…勝ちゃん。待ってたんだよ!
一緒に…」
女がまだ言葉を続ける中、
俺は女の肩に手を置いた。
「…え?」
「どいて」
優しく女を押す。
だって…靴とれないし。
女がどけて現れた俺の下駄箱から
靴をとりだして校舎から出た。
「勝ちゃん!!!」
後ろから聞こえた声。
聞こえてるけど止まったりしない。
だって、どうせすぐに…。
「勝ちゃん!!!」
思いきり抱きついて腕をからめてくる。
「一緒に帰ろう♪」
くっつく女を見下ろし、
しばらく見つめるとゆっくり腕を離し、
あいづちをうたないまま
また歩きはじめた。
どうせ「いやだ」って言っても
ついてくるんだ。
答えるだけ無駄。
「もう!勝ちゃん!!」