華の恋
「早く戻ってきてねぇ~」…と言って
階段を降りていく。
真山華恋。
俺の幼なじみ。
幼稚園の時に隣に引っ越してきた華恋は
両親が多忙のためいつも1人ぼっち。
そんな華恋がかわいそうと俺の両親が
面倒を見るようになったのがきっかけ。
女同士だから1つ年上のアネキ・詩織と
仲が良かった華恋。
けど、同い年ってこともあり
俺ともいつも一緒に遊んでた。
俺の…初恋…現在進行中の。
恋だって気付くのに時間はかかったが
出会った頃から大切な存在だった。
ラーメン屋をする両親はいつも家にいて
1人ぼっちなんて体験したことが無い俺は
華恋がみじめで仕方が無かった。
昔から無口だった俺だけど
家族との時間は温かくて居心地がいい。
けど華恋はそれを幼稚園児の頃から
未経験だった。
華恋の両親は華恋のことを
本当に愛してる。
たまに帰ってきては泣きながら抱きつき、
再び仕事に行く時も号泣して別れる。
愛されているけど…やっぱりどこか
淋しいはずだ。
だから…聞いたんだ。