華の恋


「華恋ちゃんは…お父さんやお母さんが
居なくて淋しくないの?」



そう聞くと華恋は答えた。



「淋しいよ?でもね?
パパもママも華恋のために
お仕事頑張ってくれてるから!」



「泣いちゃう時…無いの?」



「泣いちゃだめだもん」



「え?」



「華恋が泣いたらパパもママも
悲しむもん。
パパとママが悲しむのは見たくない。
パパとママが大好きだから」



とびっきりの笑顔でそう言った。



強い…と、思った。



小さな体で…俺と同い年なのに…。



強い子だって思った。



けど…その強さの影では、きっと…
弱い部分がある。



守りたい…俺が。



そう思った。



いつも華恋のそばにいて、
華恋の弱さが膨らまないように
俺が守るんだ。



そう決めた。



けど…それは恋では無く…
家族愛のようなものだった。


< 61 / 118 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop