華の恋
いや…違う。
恋だったことに…俺が気付かなかった。
自覚してなかったんだ。
「今日ね?勝ちゃん寝てたから
知らないと思うけど~。
華恋美術の時間ほめられたんだ」
「今日まこっちゃん何も無いところで
こけたんだよ!?」
「今日中等部のお兄さんに睨まれたの!
怖かった~」
無口な俺に永遠と話しかける華恋。
「あ、そういえば休憩時間に
四葉のクローバー見つけたの~♪
杏にしおりにしてもらったから
勝ちゃんにプレゼントっ!はい」
「…楽しい?」
しおりを受け取りながらこぼれた言葉。
「ん?」
「俺…何もしゃべらないし…
あいづちうたないし…。
俺といて…華恋は楽しい?」
そう言われた華恋は首をひねった。
けど、すぐに笑顔になる。
「楽しいよ」
え…。
「何もしゃべらないし…ただ黙って
華恋の話を聞いてるだけだけど…。
でも…真剣に聞いてくれるから」