華の恋


「平気?」



「うん…大丈夫」



「なんでしなかったの?」



「え…何を?」



「電話」



雑誌から目を離し華恋を見ながら言った。



「いつもしてるじゃん…怖い時」



嵐の夜とか…杏と探検に行って
迷子になった時とか…。



くだらない時にはかけてくるくせに
なんでこういう時にかけてこないの?



「しようとしたんだよ?
でもちょうどみなとに会ったから
思わず…」



思わず?



「で、でも!平気だったんだし」



笑って言う華恋を見たまま黙る俺。



「…ごめんなさい」



別に謝ってほしいわけじゃないのに…。



俺が悪いみたいじゃん…。



「…今度からは…しろよ電話」



雑誌に視線を戻した。



「え…うん」

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