黒い同居人
自宅にも仕事を持ち帰ることが多くなった。
この仕事に就いて、一人暮らしをするようになった。
初めのうちは、好きな家具を買い揃え、キャンドルに凝ってみたり、気まぐれに観葉植物を買ってきてみたり、無駄にクッションを集めてみたりした。
自宅でも仕事をするようになってから、暫く立った頃だった。
「…何これ。」
気付けば集めていたクッションの山がホコリまみれになり、窓際に置いていた観葉植物はもはや何の植物だったかも分からない程無惨な状態になっていた。
ふと、部屋の中をぐるり、と見渡してみると。
「…あぁ、何これ…。」
開いたままのクローゼットからは服が飛び出し、ベッドの上まで進出していた。
机の上には見慣れた白い四角のノートパソコン。
…の上に鏡、化粧水、アクセサリー類、栄養ドリンクの瓶。
黒い机の上はそれをどかさない限り、¨黒い机¨だと分からない程モノで溢れていた。
床の上のマットレスは悩みに悩み抜いた末に、デザイン・形が一番気に入って買ったお気に入りだった。
そのマットレスすら、上に散乱している雑誌やコード、化粧品やコンビニの袋等で埋まり、気に入って買った筈のデザインを拝むことすら叶わない状態だった。
のぞみがいつも座っている一ヵ所のみ、スペースが空いているだけで、他は足の踏み場もなかった。
恐らく彼女以外の人間が立ち入れば無傷では済まない。
彼女だけが¨安全に行き来出来る道¨を知っている。
彼女の足の裏の感覚のみが。
はぁ。と短く嘆息した後、
「喉かわいた。ビール飲も。」
と、冷蔵庫のあるキッチンへと歩を進めた。
今日は奮発してプレミアムなんとかを買ったんだ。
そんなことを考えながらひょいひょいとモノが散乱した床を軽快に飛び越える。
…と。
―――ガンッ!!!
キッチンと部屋を隔てるドアを開けた時だった。
いつも通りドアを開けた筈だったが¨何か¨に阻まれて思うようにドアが開かない。
その為、開いたドアを潜ろうとした瞬間、開ききらなかったドアに額を思いっきりぶつけていた。
この仕事に就いて、一人暮らしをするようになった。
初めのうちは、好きな家具を買い揃え、キャンドルに凝ってみたり、気まぐれに観葉植物を買ってきてみたり、無駄にクッションを集めてみたりした。
自宅でも仕事をするようになってから、暫く立った頃だった。
「…何これ。」
気付けば集めていたクッションの山がホコリまみれになり、窓際に置いていた観葉植物はもはや何の植物だったかも分からない程無惨な状態になっていた。
ふと、部屋の中をぐるり、と見渡してみると。
「…あぁ、何これ…。」
開いたままのクローゼットからは服が飛び出し、ベッドの上まで進出していた。
机の上には見慣れた白い四角のノートパソコン。
…の上に鏡、化粧水、アクセサリー類、栄養ドリンクの瓶。
黒い机の上はそれをどかさない限り、¨黒い机¨だと分からない程モノで溢れていた。
床の上のマットレスは悩みに悩み抜いた末に、デザイン・形が一番気に入って買ったお気に入りだった。
そのマットレスすら、上に散乱している雑誌やコード、化粧品やコンビニの袋等で埋まり、気に入って買った筈のデザインを拝むことすら叶わない状態だった。
のぞみがいつも座っている一ヵ所のみ、スペースが空いているだけで、他は足の踏み場もなかった。
恐らく彼女以外の人間が立ち入れば無傷では済まない。
彼女だけが¨安全に行き来出来る道¨を知っている。
彼女の足の裏の感覚のみが。
はぁ。と短く嘆息した後、
「喉かわいた。ビール飲も。」
と、冷蔵庫のあるキッチンへと歩を進めた。
今日は奮発してプレミアムなんとかを買ったんだ。
そんなことを考えながらひょいひょいとモノが散乱した床を軽快に飛び越える。
…と。
―――ガンッ!!!
キッチンと部屋を隔てるドアを開けた時だった。
いつも通りドアを開けた筈だったが¨何か¨に阻まれて思うようにドアが開かない。
その為、開いたドアを潜ろうとした瞬間、開ききらなかったドアに額を思いっきりぶつけていた。