黒い同居人
「あ゛だだだ!!!」

と、女らしさの欠片もない呻き声をあげる。


痛む額を擦りながら、中途半端に開いたドアからキッチンを覗く、と。


「やだなぁ。いーかげんゴミ捨てなきゃ…。」



そこには巨大なゴミ袋。

しかも特大×3袋。


ゴミ袋がドアの開閉を阻んでいた。



見渡せば巨大なゴミ袋が部屋の中に点在していた。

床も机も全てがモノに埋めつくされている為に、普通なら異様に見えるゴミ袋も、部屋の一部と化していた。



ドアの隙間にから足を伸ばし、開閉を阻んでいたゴミ袋を爪先で蹴飛ばす。

ドサドサッという音と共に巨大ゴミ袋タワーが床の崩れ落ちた。


「燃えるゴミの日っていつだっけ…今日が金曜だから…あと6日も先ぃ!!!?」


あ~あめんどくさ~と呟きながら冷蔵庫のビールを取り出し、その場でグビグビと喉に流し込む。

飲み干した缶を捨てようとゴミ箱を探すが、面倒くさくなり近くにあったコンビニの袋に適当に突っ込んだ。



「水曜…休みか…。朝起きるのめんどくさっ!」


ゴミの散乱した床を軽快に飛び越えながらのぞみはふと

¨再来週でいいか…¨
と考えていた。










宮本のぞみ。

アパレル勤務の24歳。

現在フリー。できる予定もナシ。

仕事以外の趣味といえば、密かに¨非モテ¨サイトに書き込みをする事と飲酒。

仕事上では所謂¨できる女¨。

後輩からは¨宮本さんとシフトが被ると前日ブルーになる。¨と言わしめる程恐れられ、同期や上司からは¨頼れるアネゴ肌¨と信頼も厚い。が。










裏の顔。




仕事を出来て信頼も厚い¨出来る女¨宮本のぞみは
















実はゴミとホコリに埋もれた堕落部屋の住人である。
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