黒い同居人
話は元に戻り、ある日の深夜0:23。


のぞみはいつもより大分遅くに帰宅の途についた。



その日は疲れとストレスがピークに達し、機嫌がすこぶる悪かった。

その日1日はスタッフは誰ものぞみに近寄ろうとはしなかった。


¨宮本さんの機嫌のバロメーターは顔の赤みで判る¨
と言われるように、のぞみは機嫌が悪いと顔がどんどん紅潮する特徴がある。


この日ののぞみの顔面は¨茹であがる直前のひょっとこ¨(スタッフ談)レベルだった。


―――ちなみに怒りが爆発した時の顔面が¨茹であがったひょっとこ¨らしい―――


とにかく不機嫌だったのぞみの怒りを爆発させた出来事があった。



後輩スタッフにその日入荷した商品のディスプレイを任せ、のぞみは昼休憩に出た。


まだ入って日が浅いスタッフだったが、やる気はあるし、指示は細かく出しているから問題ないだろう、と安心して任せていた。



のぞみの働くショップの入ったファッションビルの休憩室で、出勤前に買ってきたサンドイッチをかじりながらも片手では店長から任されている仕事に関係する資料をペラペラと捲る。


食べ終えるとすぐさま休憩室から少し離れた場所にある喫煙所へ向かった。



愛煙しているタバコをくわえ、フーッと煙を吐き出す。



仲の良い他のショップの従業員と¨タバコ値上がりですって。喫煙者には厳しいですよねぇ。タバコ辞めます?¨等と雑談や仕事の愚痴をこぼしあう。


それだけでも先ほどまでのイライラが少しだけ治まる気がした。



少しだけ気分が良くなったのぞみが店へ戻ると…。



のぞみが昼休憩に出た時と全く同じ光景が広がっていた。
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