Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―




出来上がったメモリーをレイコさんへと手渡す。


「こっちのもお願い出来るかしら?やっぱり城戸くんは、仕事が早くて本当に助かるわ」


「退院したらもっと頑張りますから」


「えぇ。皆待ってるわよ?」




……皆。



見舞いに来てくれた人も数人いたけれど、今まで毎日顔を合わせていたはずなのに思い出せなくて気まずかったのを思い出す。




「居ない間に仕事……進んでます、よね?」



少し、心配になった。



こうしてパソコンを使ったデータのまとめ等は出来るけど、戻ってちゃんと仕事の流れについていけるだろうか。



ついていけなくてもついていこうとは思っているけど。




「んー……新しいシステムを導入してみたりもしてるけど、大して前とは変わってないし、城戸くんならすぐに覚えるだろうから問題ないわ」


「そうですか……」



足も良い具合に完治に近づいてきた。



早く仕事に戻りたい。





―――「あのっ!私もう帰ります」



レイコさんとの会話が途切れて、僅かに間が出来た時。



タイミングを伺っていたかのように声を出したのは、本城さんだった。





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