Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―
分からない真実
―――「俺、レイコさんと付き合ってたのかな?」
何気なく。
本当に何気なく聞いた事だった。
俺の退院を一週間後に控えた日。
そして誰との約束か分からないクリスマスももうすぐ、になった日。
何も考えずに、本城さんにそう聞いた。
やっぱり会社のスケジュールに書いてあったし、会社の人間との約束なはず。
同じ会社に彼女がいた……としたら見舞いに来るはずだし。
会社、女性で思い浮かんだのは……レイコさんだったから。
「ね、どう思う?
本城さんは昔の俺知ってるんだろ?誰と付き合ってた……とか」
黙って俺を見る本城さんは、きっと何かを知ってるはず。
黙っているだけで、きっと知ってる。
……クリスマスまで時間が無いんだ。
こんな方法は良くない。
自分で思い出すのが理想だけど、どう頑張っても思い出せないから……。
本気、で聞いたつもりなんだけど、な。
「自分で思い出さなきゃ……」