Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―




何やってんだ俺は。



自分のミスでこんなことになって心配かけた挙句、こんな顔までさせて。




思い出さなくて良い






レイコさんも、本城さんもそう言うけど


どうしても思い出さなければいけない。




そんな気がしてしょうがない。




このまま今までの事を気にしないで生きていくなんて絶対に無理。



って思うのに……思い出せない自分の記憶。




クリスマスの……約束の日が近づく度に焦りながら思い出そうとする。




よく来てくれる本城さんは来るたびにこんな俺を見て苦しそうな、悲しそうな顔をするのか……?




そんな顔、させたくない。




なら……





今、空っぽな俺が出来る事は、本城さんにこんな顔をさせない事だろ。





「……本城さん」




自分の中で完結し、切り出そうと顔を上げれば


「ん?」


首を傾げた本城さん。







「毎日、来なくて良いから」







微かに、本城さんの瞳が揺らいだ。






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