Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―





「同級生ってだけで、毎日来てもらって。迷惑かけて、ごめん」




俺が「明日は来れる?」って毎日のように来てもらおうとしてたのに

いきなり来なくて良いなんて最低だよな。




「……迷惑なんかじゃ無かったよ」




ぽつり。


少しの間の後にそう言葉を紡いでくれた。




ありがとう。



優しいよな、本城さんは。




我儘な俺の発言に怒ったって、迷惑だったって言っても良いのに。



毎日、じゃなくて良いからさ。




「たまに……来てくれたら嬉しいな。
まだ後少し、退院まで日があるから。疲れてなくて、時間がある時にでも」




仕事も大変だろうし、ココへ来る、と言う負担を減らして貰えたら。




だけど、もう来なくて良い、じゃなくてまたたまに来て欲しいと言ってしまう俺は、弱い。



「じゃあ……私帰るね」



俺の言葉に黙って頷いた本城さんは、帰ろうと立ち上がる。




「またね」


荷物を手に取った本城さんを見上げて、いつもと同じ別れの会話。





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