Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―





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「……だりぃ」


「昨日床で寝てたから」


「起こしてくれるとか、無かった訳?今、冬なんだよ」



昨日飲み過ぎたせいでもう3時を過ぎていると言うのに未だ床に転がっている兄貴を見下ろす。




「知らない」


「お前なぁ。退院したらそれまでか」


「や、そういう訳では無いけれど……」



手伝って欲しいんだけど。


動こうとしない兄貴を若干邪魔だと感じながら、俺は片付けと室内の把握としてさっきから動き回っている。




約束の事は頭の片隅に追いやりながら。




たまった洗濯物を干そうと、ベランダへと続く窓を開ける。




「おい、寒い」


「ちょっと我慢して」


「閉めて」


「だから我慢してってば」




若干どころじゃない、ただの邪魔だ。



「あのさ……手伝ってくれないの?」



昨日兄貴が明日にするって言ったから今日片付けてるけれど。



兄貴がこんな風になるなら昨日のうちに少しでもやっとけば良かった。






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