Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―
道は絶対に混んでるだろうし、今からどれだけ急いでも確実に間に合わないだろう。
「キーって俺の車で行くつもりか?」
「そ!」
だから早く貸して――と手を出したのに、俺の手を無視して立ち上がった兄貴。
時間が無い。
ムッとする俺に兄貴は相変わらずの笑みで、そのまま電気機器のスイッチを切ると歩いて行く。
「俺が送ってやる」
「は?」
「焦ってまた事故起こされたらたまんねーし。ちゃんと運転の仕方覚えてんのか不安だしな」
玄関へと迎う雅臣に、頼るな、と記憶した兄貴だけど。
やっぱり頼る時は頼った方が良いのかもしれない。