Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―
他の女子の係の子にも伝えといてくれる? そう言った彼にあたしが頷くと、彼はにっこり笑って元の男子の輪の中に入っていった。
それまで私は涙の名前や顔は知っていたけれど、直接話したことが無くて。
ちょうど同室だった友達が涙と同じ中学校出身だったから、涙について聞いてみたんだよね。
『ね、城戸くんってどんな子?』
『城戸?』
その子は、いきなりの話題にどうしたの?と首を傾げながら聞き返す。
うん、と私が頷くと、にっこり笑いながら中学の時の涙について話してくれたんだ。
『城戸はねー、中学ん時はずっとクラスの中心のグループにいたよ?
チャラチャラしたのばっかりのグループだったけど、城戸はそこまでチャラチャラしてなくて』
『それでも中心のグループにいたんだ』
『うん。すっごく人気だったよー?女子も男子からも。
城戸、城戸って言われてたし、それに気が効いて優しかったよ?』
『そっか……』
全然知らなかった。
というか、全く眼中に無かったんだけど。
そんな人だったんだ……。
『って……城戸の事好きなの?』
なんて、気付いたようにニヤつきながらあたしの近付いてくる。
『ち、違うよ! ただ、どんな人なのかなー?って気になっただけ!』
近付いてくる顔を手で押さえながら否定すると、『そう?』って離れる。