Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―





『城戸くんだってお菓子買ってる』


『本城さん程じゃないけど』


『違うのも買うよ!』




クスクス笑い続ける城戸くんにふてくされながら、他の物を買おうと辺りを見回す。



『……どうせならさ、ここに来た事を忘れない物買ったほうがいいじゃん?』



『忘れない物?』


あたしが聞き返すと、涙はうん、と頷く。




『それ見るたびに思い出すもの。ずーっと残るもの』



……つまり、思い出の品になるもの。と付け加えた涙に納得する。




お菓子は食べたら終わりだし、何か思い出に残るもの……。




キーホルダーはつける場所、特に見つからないし、ストラップとか?



あ、でも携帯にいっぱい付いてるし……。



どれがいいだろうか……。




『これなんかどう?』



沖縄モチーフのキティちゃんシャーペンにしようかな?と、種類が豊富なペン類を見ていた時。




隣の涙の声に、あたしは涙の方を見た。




あたしに向けて見せているのは……



『星の砂?』




小さな小瓶にコルクで栓がしてある、星の砂。



『そ。小さいから場所とらないし、どこかにずっと置いとけるじゃん?
それに、種類豊富で値段も超安い』




指差された箱の中を覗くと、カラフルな砂がある。



そのなかに星の砂も混じっていて。




『これいい! 思い出になるね!』


笑顔で涙にそう言うと、いくつか箱の中から小瓶を取って何色にしようか考える。



カラフルすぎてどれにしようか悩んだ結果、水色の砂に入っている星の砂を選んだ。




水色が海みたいで、綺麗だなーって思って。










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