Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―
『本城、ノート提出なんだけど……』
『あ!ごめんね、今写し終わるとこ』
クラス全員分のノートを両手に持って、私の机の前に立った涙に謝る。
修学旅行の後から、話すようになった私と涙。
涙は、修学旅行の時に友達から聞いていたとおりの人。
今思えば、旅行の時から私は涙を意識して見てたんだよね。
当時の私は、「城戸くん」で頭がいっぱいだった。
写し終わったノートと写させてもらった友達の分を、出席番号順に並べてあるノートから自分の場所を探して入れる。
『ごめんね、待たせて……私が最後だったよね』
『大丈夫。さっき名前順に整理し終えたばっかだったから』
それでも、待たせてしまった事に変わりはない。
申し訳ないと思ったあたしは、涙の仕事を手伝う事にした。
『あたしも職員室まで持ってくよ』
涙の持っているノートを少し持とうとすると、慌てて涙が止める。
『大丈夫だって。全然軽いし』
『でも……』
『じゃあさ、俺の鞄持ってくんない?そしたらノート出した後そのまま帰れるし』
納得いかない私の表情を読み取ってくれたのか、涙は私に頼んでくれた。
『うん』
あたしは涙の席にある鞄を持つと、教室を出る。