Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―
『大丈夫?俺の重くない?』
時々気遣ってそう聞いてくれる涙。
『全然平気。って、すごく軽いけど中何入ってるの?』
『……何も入ってない。筆記用具くらいしか』
『じゃあ重いわけないじゃん!』
笑いながら歩く私達。
『……ありがと』
ノートを先生に渡し終わると、涙はすぐに私から鞄を受け取る。
『本城って何通学?』
『徒歩だけど……城戸くんは?』
下足箱で靴を履き替えながら答える。
あたしの家は、学校から15分位の位置にある。
自転車で通学すると、もっと早く登下校ができるけど、自転車の運転が苦手な私は歩いて通学してたんだ。
『俺は自転車。ちょうどいいや、送ってくから待ってて』
ポケットから鍵を取出し、私を見て微笑むと、駐輪場の方へと走っていく涙。
その後ろを歩いて追っていくと、涙は自転車を押してすぐに私の元へと来た。
『乗って』
ポン、と後ろを叩く涙に私は首を横に振る。
『良いよ、歩いて帰るから。
じゃっ!!』
ノート提出を待たせた挙句に送らせるなんて悪い。
そう思った私は、校門を出て歩きだす。
『自転車の方が早く帰れるだろ?遠慮せずに乗りなよ』