Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―





安心して、涙が溢れてくる。




『でもな……波音ちゃん』




安心しきっていた私に、雅臣さんは悲しげな表情で更に口を開こうとして、私は雅臣さんの方を見る。






その時。




ベッドについていた手に、暖かい感触。




涙が、私の手を握っていた。



私も、涙を見て手を握り返す。




無事で良かった……!




そう思ったのも束の間。





『……あなた、誰ですか?』



耳を疑うような言葉が、涙から私へと飛んできた……。










『え?』



何……言ってるの?




驚いて涙を見るけれど、涙は真面目な顔をして私を見ていて。




冗談で私に言っているような事は全く無かった。




真面目に、本当に分からないで聞いていると言った感じで。




涙のお母さんが『涙っ!あんた波音ちゃんまで……』




と言って啜り泣く声が聞こえる。



どう言う事……?





首を傾げる涙に、私はただ呆然と固まって涙の不思議そうに私を見る目を見つめ返す事しかできない。









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