Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―
レイコの宣戦布告
レイコさんに連れて来られたのは、病院のすぐ近くのカフェ。
入ってすぐレイコさんはカプチーノ、私は紅茶を頼む。
正面に向き合うように座ると、威圧感がある。
レイコさんは、私を見ていて思わず視線を逸らして机を見つめてしまう。
フーと息だけを吐き出したレイコさんは、
「城戸くんってこんなのがタイプなんだ」
いきなり挑発とも思える言葉を私に投げ掛けてきた。
その言葉に顔を上げると、レイコさんは口角を上げて意地悪く笑っていて。
何よ、こんなのって……。
確かに可愛いとは思ってない。
だけど、こんなの って言い方は無いじゃない。
「……何が言いたいんですか」
言いたい事が私にあるならさっさと言ってほしい。
私を傷付けようとする発言をしてくる事は分かってるんだから。
さっさと言わせて、私は帰りたい。
「城戸くんはね、会社で周りからすごく信頼されていて、すごく気が利くし仕事も速くて素敵な人なの」
だけど、次にレイコさんから出てきた言葉は、涙についての物だった。