Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―
「綺麗……」
いつ見ても綺麗に光り輝いているイルミネーション。
時計を確認すると、ちょうど19時過ぎ。
……本当なら、今ごろ涙と落ち合って初心に戻るクリスマスデートをしてたんだよなぁ……。
まわりを見ると、寄り添うカップル、カップル、カップル……。
この前見たときはあった隣の温もりも、今はもう無い。
一人自分が虚しく感じてきて、泣けてくる。
今頃涙は、レイコさんとクリスマスデートしてんじゃないのかな。
私との約束なんか忘れて。
「……涙の馬鹿」
ボソッっとイルミネーションで輝いているツリーに向かって言う。
「忘れないでよ、大事なこと」
上を見上げると、涙が頬を伝っていく。
こんなカップルだらけの中で、一人ツリーに向かってボソボソと呟いてる女、端から見たら絶対怪しい。
どうせ、振られたか何かだろう、と可哀想な目で見てくる。
でも、そんな視線も気にせず、私は涙を流した。