Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―
涙は、ベットの横の椅子に座るように促してくれる。
「仕事がまだ残ってて……あ、ごめんね、時間が無くてかすみ草買えなかった……」
花瓶の花は、何日か前にあたしが持ってきたかすみ草。
枯れだしたから、そろそろ買わないとって思ってたんだよね……
「……またかすみ草?」
フッて笑いながら涙もかすみ草を見る。
「やっぱり、こっちの華やかな花の方が良い?」
あたしは、かすみ草の隣に置かれた綺麗な色とりどりの花を指差す。
「いや……本城さんはいつもかすみ草を買ってきてくれるから、俺、そんなにかすみ草が好きだったのかなって思って……」
目を細めてかすみ草を見る姿に、胸が苦しくなる。
「残念。ただあたしが好きなだけですー」
その思いを口や態度に表すことなく、あたしは明るく振る舞う。