Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―
「さて、波音さん。初心デートしますか」
指を絡めて手を繋いだ、涙。
「……涙」
「ん?」
「今日はね……家に帰りたい」
「え?」
涙は首を傾げる。
私もデートはしたい。
でもね、ついさっきまで気持ちがドン底だった私は、メイクもまともに出来てないし、涙でぐちゃぐちゃだし。
最近の睡眠不足でお肌はガサガサで最悪の状態なの。
「また……別の日にね?」
「別にメイクとかなら気にしてないよ?」
そう言ってくれる涙。
でも、それでも涙とのデートは本当に完璧な状態でしたいんだ。
初デートの時みたいにすっごく気合いを入れて。
それに、それに……。
「家で、ふたりっきりで、ずっと一緒にいたいから」
握った手にギュッと力を入れて涙を見上げる。
ずっと、抱き締めて私の傍にいてくれたらそれで良いから。
もう、どこにも行かないで。
ずっと傍にいるよって、抱き締めてくれたらそれで良いから。
もう、他には何も望まない。