Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―
「……普通、俺の好きそうな花持ってきてくれるでしょ」
「何が好きなの?」
あたしが聞くと、涙は考えるように目を閉じる。
「うーん……向日葵、とか?」
涙の口から出た、向日葵って言う言葉に、思わず笑みが零れる。
「何?似合わない?」
笑ったあたしにムスっとする涙。
違うよ、涙。
似合わないとか、そんな事で笑ったんじゃなくて。
「城戸君、向日葵好きって夏場になったら良く言ってた」
「マジ!?やっぱ好み変わって無いのかなー?」
嬉しそうにあたしを見る涙に、心の中で伝える。
好み、変わらないでね、と。
そうしたら、もう一度、あたしを選んでくれるって思うから。
――『向日葵って良いよなー?』
ソファーに寛いでテレビでひまわり畑のニュースを見ながら、涙が呟く。
『向日葵?』