Winter bell
「羅夢?」


晴稀はもう一度、あたしの名前を呼んだ。


「あたしっ……!」


晴稀が好き……


心で訴えているたった一言を言い出せずに、喉元で言葉を飲み込む。


「俺は、ずっと羅夢を待ってるから……」


「え……?」


予想外の晴稀の言葉に驚いて、涙が止まった。


どういう事……?


「俺のとこに早くおいで」


「俺のとこって……?」


「じゃあな!」


晴稀はあたしの質問には答えずに、電話を切った。


“俺のとこ”……?


晴稀の家って事なん……?


答えはわからないままだったけど、バッグを持って家を飛び出した。


「えっ!?」


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