Winter bell
ここでご飯食べるんかな……?


黙ったまま歩く晴稀の後ろを追い掛けながら、芽生えた期待で胸が膨らんでいた。


だけど…


連れて行かれた所は、ホテル内のカフェ。


不思議に思いながらも、晴稀の背中を追い掛け続けた。


「あっ!こっちでぇ〜す♪」


不意に飛んで来た声に、あたしはハッとした。


晴稀の体で姿は見えなかったけど、確かに聞こえて来た大嫌いな声…。


「山本さん……」


晴稀の前には、席に座った山本さんがいた。


「羅夢さん……?先輩、どういう事ですか?」


あたしの姿を見た途端、山本さんの顔色が変わった。


晴稀は彼女の向かいの席に座ると、あたしにも隣に座るように告げた。


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