Winter bell
「ねぇ、もしかして……ここってスイートルーム……?」


部屋を見渡しながら尋ねると、晴稀は照れ臭そうに笑った。


「まぁな!」


「ここに泊まるん……?」


そう訊いた後、ドキドキしながら返事を待った。


「そのつもりやけど……」


「ほんまにっ!?」


晴稀は喜んでいるあたしに頷いて、急に真剣な表情になった。


「俺さ……羅夢に言わなアカン事があるねんけど……」


「何……?」


空気が緊迫した事を感じて緊張しながら晴稀の言葉を待っていると、彼は深呼吸をしてからゆっくりと口を開いた。


「あの……ち……た……やねん……」


「えっ?」


だけど、晴稀の声が聞こえなくて、あたしは小首を傾げた。


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