Winter bell
晴稀は言い難そうにしながら、もう一度口を開いた。


「俺……下手やねん……」


「はっ!?」


その言葉が何を指しているのかがわからなくて、あたしは困惑してしまった。


「何が……?」


眉をしかめながら尋ねると、晴稀が右手で顔を隠した。


「だから……その……“ナニ”が……」


ん……?


しばらく小首を傾げていたあたしは、不意にハッとして…


「えぇーーーっっ!?」


あまりにも驚き過ぎて、思わずソファーから飛び退いた。


「晴稀って……晴稀って……えっち下手なんっ!?」


「ハッキリ言うなっ!!」


顔を真っ赤にした晴稀が、ため息混じりにうなだれてしまった。


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