Winter bell
突然、『えっちが下手』って言われたって…。


いや、あたしなんて実はバージンやしっ!!


心の中で叫んだ言葉は言えるハズも無く、あたしは黙り込んでしまった。


「はぁ……」


すると、晴稀が大きなため息ついてあたしを見上げた。


「俺、ずっと自信なかってん。だから羅夢が『泊まりたい』って言っても、理由付けて避けてた……」


晴稀の言葉に、胸の奥がズキッと痛んだ。


晴稀は、ちゃんと気付いてくれてたんや……


「でも……山本さんと色々あった時、羅夢を一番不安にさせてるんは俺やって思って……」


「晴稀……」


晴稀は、あたしの瞳を真っ直ぐ見つめた。


「羅夢を失うくらいやったら、正直に言って向き合おうって思ってん……。ごめんな……」


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