Winter bell
あたしのアパートはワンルームで、すごく狭い。


だけど、今は晴稀との距離がやけに遠く感じる。


「羅夢、怒ってる?」


「怒ってないけど……」


「けど……?」


晴稀が優しい声で促す。


「不安やもん……」


「何が不安なん?俺、ちゃんと聞くから……」


そう言った晴稀は、あたしの頭を優しく撫でた。


「あの子、晴稀の事……好きやもん……」


「あの子って、山本さん?」


俯いているあたしの顔を、晴稀がゆっくりと覗き込んで来る。


あたしは小さく頷いて、彼を見つめた。


「そんなんと違うで?山本さんはただの事務の子やし!」


晴稀の話を聞いても、不安は消えなかった。


< 25 / 129 >

この作品をシェア

pagetop