Winter bell
「そうですよねぇ〜!ごめんなさぁ〜い!羅夢さんと話してると楽しくて、つい夢中になっちゃってぇ〜!」


「そう……。ありがとう」


嘘つきっ!!


アンタはずっと、晴稀にベタベタ引っ付いてただけやんかっ!!


あたしとなんて、ほとんど喋ってないやんっ!!


消化出来ない苛立ちが、心の中で渦巻いている。


「あたし……ちょっとトイレに行って来ます……」


山本さんの友達が席を立つと、晴稀も口を開いた。


「ごめん、俺も……」


彼は、肩に触れていた山本さんの手をさりげなく退けて立ち上がると、あたしに気まずそうな笑顔を向けた。


テーブルに残されたあたしは、山本さんの方を見ずにカクテルを一気に飲み干した。


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