Winter bell
あたし達はアパートを出て、晴稀の会社に向かった。


「何で羅夢も来るん?」


そう尋ねられて、ニッコリと笑顔を見せる。


「晴稀のお見送りやん♪」


「でもなぁ……」


少しだけ迷惑そうな表情をした晴稀を、キッと睨む。


「何か都合悪いん?」


「ちゃうけど……」


「けど?」


あたしが促すと、晴稀はため息混じりに口を開いた。


「お前、帰るまでにナンパされそうやから心配やし……」


心配そうに言った彼を見て、クスッと笑ってしまった。


「じゃあ、晴稀があたしを送ってよ♪」


「それが出来ひんから、心配なんやろ?」


晴稀は眉を寄せながら言って、大きなため息をついた。


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