Winter bell
あたし達は、そのまま駅前で立ち話をしていた。


「卒業以来やけど、松井は全然変わってへんなぁ!」


「そう?結構大人っぽくなったと思うねんけど……」


自分の服装を見下ろしながら呟くと、晴稀は小さく笑った。


「いや、あんまり変わってへんって!そういえば、今日はもう仕事終わったん?」


「うん、今から帰るとこ!」


あたしが笑顔で答えると、晴稀は少しだけ考え込んでから口を開いた。


「じゃあ、せっかくやし飯でも行かん?」


「えっ?今から?」


晴稀からの急な誘いに、心底驚いてしまった。


正直、あたし達は特別仲が良かった訳じゃない。


それどころか、会話を交わす機会もあまり無かったのに…。


< 70 / 129 >

この作品をシェア

pagetop