Winter bell
「マジ……?」


「うん……」


目を見開いて驚く晴稀を見ながら、小さく頷いた。


「……っ!よっしゃぁーっ!!」


彼は満面の笑みで叫ぶと、あたしをもう一度抱き締めた。


「ちょっ……!堀川、苦しいっ……!」


「“晴稀”って呼んでや……」


少しだけ腕の力を弱めた晴稀が、あたしの耳元で囁いた。


「晴稀……?」


「うん……。ありがとう……」


心の中にくすぐったい感情が込み合げ、柔らかい笑みが零れる。


「こんなとこで引っ付いてたら目立つよ……」


「あっ……!」


あたしが言った瞬間、弾かれたように体を離した晴稀が可笑しくて…


あたし達は顔を見合わせて、ずっと笑っていた――。


< 76 / 129 >

この作品をシェア

pagetop